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森の中の自家焙煎コーヒー店「カフェウォールデン」で猫と犬と音楽の生活

Waldenの安曇野日記 Vol.43

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Waldenの安曇野日記 Vol.43「献血のススメ」の巻

みなさんこんにちは、ウォールデンの安曇野日記の時間です。

前回の安曇野日記は、ウォールデン少年が瀬戸内海でいかに成長したかの物語でした。
で、書いていて思ったんですが、もはやこれは安曇野日記ではありません。
都の西北早稲田のとなり、、、、ではありませんが、安曇野日記ではなく、安曇野(で書いている)日記という題に変更します。
したがって、さらにコーヒーからは大幅に逸脱したエンターテイメント路線を目指そうと思います。

そんな訳で今回の安曇野日記は、ウォールデン少年の献血のススメです。
みなさんは献血ってしたことありますか?
駅前なんかにとまっている献血カーに自分から乗り込んで、さあ血を抜いてくださいって言うのって、ちょっと勇気が要りますよね。
これはウォールデン少年が、高校に入学した直後にあったお話です。

高校に入学して自転車通学を始めて、人類初の自転車で音速を超えようかという毎日を送っていたある日、ウォールデン少年のもとに一本の電話がありました。
「もしもし、あの私のことおぼえていますか?」
か細い女の人の声。
これはいよいよウォールデン少年にも、夢にまで見た男女交際というのがめぐってきたのかと思い、手に汗をにぎりヘドモドしながら答えました。
「は、はい、おぼえています、、、、、えっと、どちら様でしょうか?」
おれはアホか、と思いながらも相手の返事を待ちます。
「あの、もし良かったら、、、、、血、分けてくれませんか?」
「はい、よろこんでお付き合い、、、、、血、ですか?、、、、、」
「ええ」

そのか細い声の女性は、ウォールデン少年の中学の同級生でNさんという人でした。
Nさんは、家庭の事情で進学せずに社会に出て働いていて、今はおじいさんと二人暮しをしているのでした。
ウォールデン少年はそんなNさんから、中学時代にハンカチをもらったことがありました。
きっとズボンで手を拭いていたんでしょう。
うがいをした水をそのまま飲む、というようなこともしていましたから。
そんな訳でNさんは、ウォールデン少年のことを思い出してくれたのです。

それにしても血を分けて欲しいとは、いったいどういうことなのか、とにかく会って話を聞いてみることにしました。
事情としては、Nさんと一緒に住んでいるおじいさんが入院してしまい、しかも時々大量に吐血をするということでした。
それでも何だか要領を得ないので(まだ高校生でしたしね)、結局、一緒に入院先の病院へ行くことになってしまいました。

とにかく一緒に病院へ行って欲しい、というNさんに誘われるまま何だかよく考えもせずに行った病院は、かなり大きな公立病院でした。
病室に入るのもためらわれたので、ローカでさらにいろいろな話を聞いている内に看護婦さんがあらわれました。
「あんた、家の人?」
「家」
てな感じで、とうとう事務室へ連れて行かれてしまったのです。

とどのつまり、医療費が払えなくて困っている。
でもここは公立病院だから、患者さんへの輸血分くらいは献血手帳と物々交換しても良い、というお話です。
で、ここだけの話だけど、さらに足りない医療費分も集まった献血手帳で補填しても良い、というぶっちゃけた話になりました。
当時のコンプライアンスはわかりません。
でも、その部屋には善意がありました。

「要するに、献血手帳をたくさん持ってくれば良いんですね」
「そっです」

目的を持ったウォールデン少年の集中力はすごいのですよ。
あっという間に数10枚、さらに輪ができて数10枚、近隣の高校に頼みに行って数100枚、最後の方になると自転車で通学していて見知らぬ人に呼び止められ、学生服のポケットに何枚かの献血手帳を押し込められたりしました。
無我夢中で集めた献血手帳を持って病院へ行くたびに、担当の看護婦さんはくちびるをかみしめて、手帳を受け取ってくれました。

でも、そんなこととは無関係におじいさんの病状は悪化していったようで、ある日とうとう亡くなってしまったのでした。
担当の看護婦さんに呼び止められて話しを聞き、まだ不足分の医療費があるけど、それはこちらで処理できるからもう手帳を持ってこなくても良い、と言われました。
涙がポロポロと、、、、という程ではありませんでしたが、何か自分にはどうしようもない大きなことが起きているんだなあ、と思いました。

「はい、わかりました」
「あんた、えらかったね」

いいえ、えらかったのは献血手帳を下さったたくさんの無言の方たちです。
私の力不足で、皆さんにお礼状を出すことも出来ませんでした。
申し訳ありません。

献血手帳を下さった皆さま、お礼が遅くなってしまいました。
本当にどうもありがとうございました。

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