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森の中の自家焙煎コーヒー店「カフェウォールデン」で猫と犬と音楽の生活

Waldenの安曇野日記 Vol.44

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Waldenの安曇野日記 Vol.44「ウォールデン少年、宮沢賢治と散歩をする」の巻

「いったいミルクを流したようなあの白い川は、星の集まりなのです」、、、、たしかこんな書き出しで始まる、宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」、読んだことありますか?

魚眼レンズで風景を撮影すると、空が強調されて、地面は模型のように見えるじゃないですか。何かそんな質感のある文章ですよね、宮沢賢治って。

岩手県の花巻には農場を経営している友人がいるので、時々遊びに行きました。
そして、近くにある宮沢賢治記念館にも何度か行ったことがあります。
その友人の家の庭には、花巻農学校の教師だった賢治が植えた松があったりするのです。
宮沢賢治の童話には、星や動物それに森や山といった、自然そのものが話したり動いたりして登場します。
賢治のフィールドワークそのままが童話になった花巻近辺は、今でもその頃のままの自然が多く残されていて、想像をかきたてられます。

時々、そんな花巻のことを思い出しながら安曇野を散歩しています。
そんな時、僕はウォールデン少年に逆戻りしてしまうのです。

宮沢賢治さんと一緒に夜の安曇野を散歩してみました。

「ああ、遠くに銀河鉄道の音が聞こえますね」
「大糸線じゃないですか?」
「あの汽車はいったい、どの銀河ステイションまで行くのだろう」
「信濃大町です」

信濃大町と花巻って雰囲気が似ているんですよ。
アニミズム、精霊信仰、すべてのものに生命が宿っているような神秘性があるのです。

ズンズンズズズン ドンドコドン

賢治さんと歩いていると、そう言えば安曇野の精霊たちも動きだしてきたようです。
いつもは正面にじっとしている、有明山の目が開いて話しかけてくるのです。

「今日は賢治さんとお散歩かね」

すぐ上の夜空が黒い紙のようにやぶれて裂けて、紙の向こう側から月が顔を出します。

「ああこっちの空は安曇野だったね。花巻を照らすには、どの空を破けば良いんだろう」

道端の道祖神は、月に照らされている時間だけ話しをすることができるのです。
道祖神は二人向き合って、ひそひそと秘密の話をしているようです。

安曇野にはまだまだギター弾きのゴーシュや、注文の多い喫茶店がかくされているのかもしれません。

「そろそろ戻りましょうか、トシが心配する」
「あめゆじゅとてちてけんじゃ、のトシさんですか?」

「、、、、時間は物体として存在するのですよ」

ウォールデン少年が賢治のその言葉の意味を考えてから、ふとあたりを見まわすと、賢治の姿はもう見えなくなっていました。
そこは、いつもの夜の安曇野の散歩道でした。

遠くに大糸線が走る音が聞こえます。

ふと、本当に宮沢賢治が大糸線に乗って、銀河ステイションまで帰っていったような気がしました。

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